2014年01月14日

一切がビューティフル!

エレファントカシマシ デビュー25周年記念 SPECIAL LIVE さいたまスーパーアリーナ (初回限定盤)(スペシャルパッケージ&豪華写真集ブックレット72P付) [DVD] / エレファントカシマシ (出演)初日の出を思わせる「昇れる太陽」が映し出されたステージ背後の巨大スクリーンを背に“Sky is blue”から歌い始められ、正月の床の間の掛け軸を連想させもする「♪ 富士に太陽ちゃんとある」の“待つ男”で終わったエレファントカシマシのさいたまスーパーアリーナコンサートは、宮本の突発性難聴という耳の病からの完全復活を印象付けるとともに、エレカシとファンとの幸福な再会を祝福する場となっただけでなく、新しい年の訪れを祝福するようでもあって、コンサートの中で宮本が言った通りの、まさにこの日がエレカシにとって、そしてエレカシファンにとっての正月となったと言え、正月に相応しいというべき華やかさ、かつエレカシの25年を総括するように各アルバムからの満遍のない選曲によるダイジェスト的な進行には、4時間にも亘って幾重にも感動の波が押し寄せ、圧倒されたのだった。

さいたまスーパーアリーナ・開場.jpgコンサートが終わってもなおその余韻は、胸の奥はもちろんのこと、細胞の隅々まで果てしなく反響し続け、翌日には買い物の途中に、夢遊病でも患ったかのように知らず知らずのうちにエレカシの聖地とも言われる赤羽台へと足が向けば、やはり同じ思いを共有して赤羽台を訪れていらっしゃったであろうエレカシファンの方々と、昨年の秋の野音コンサートの後に残ったわずかな感傷も吹き払われたかのような、雲一つなく晴れ渡った空のように晴れやかな気持ちで挨拶を交わし、その場に居合わせた、昨年には日比谷野音のライブビューイングと大阪野音では二日ともコンサートに訪れ、またドキュメンタリー「扉の向こう」を何百回と見たという関西方面からお越しの熱烈なエレカシファンの二人組の方とは、昨日はホンマにいいコンサートやったわとか、赤羽は大きな街なのに少し歩けばこんなに静かできれいな自然が広がっているのやね、宮本さんはこんな風景を見ながら育ったからあんなにもきれいな曲ができるのかな、などとひとしきり話をしながら、ともにコンサートグッズのパンフレット写真集の撮影場所である「赤羽台一丁目1」や赤羽台団地10号館と動物公園の跡地、ブランコを背にエレカシ4人が仲良く並んで映っていたシーソー公園、象の置物がある小さな公園、振り返る宮本が写った猿田彦神社の脇を通る外周路の歩道、“桜の花、舞い上がる道を”PVの撮影場所など、エレカシの足跡を一緒にたどることになって、何とも楽しい時間を過ごしたのだった。

10号棟&動物公園跡地.jpg 赤羽台保育園の隣・象の置物がある公園.jpg
猿田彦神社脇の歩道.jpg 象の置物のある公園前の道.jpg

それでもなお、コンサートの興奮と様々なシーンのフラッシュバックは一向に収まる気配はなく、この気持ちを吐き出すべくパソコンに向かいブログ記事を書こうとするのだけれど、いずれは必ずDVD化されるだろうこのコンサートを従来のレポートのように一曲一曲を追って書く気にはなれず、かといって印象的なシーンだけを取り出して書こうとすれば、すべてが印象的と言ってよく、何とも困った事態に陥ってしまったわけで、ここは一先ず思い出すままに書き連ねていくことにして、

まず、何とも印象的だったのは“奴隷天国”、ステージ中央の背後にある巨大スクリーンにはスクリーンいっぱいの巨大な文字で、「奴」「隷」「天」「国」と挟みながら、1から順に25周年を表す25までの数字と、さらに今年の26年目を表す26の数字が圧倒的な迫力を持ってカウントアップされて映し出されたかと思えば、客席の天井からは色とりどりの風船が舞い降りてくるわ、直径1メートルはあるかと思われるいくつもの巨大な風船が客席を転がっていくわで、一体これは本当にエレファントカシマシのコンサートなのだろうか、隣で行われていた、ももいろクローバーzのイベントの間違いではないか、と思わず仰け反るほどで、

しかしそこはエレカシ、「♪ あくびして死ね」「♪ そこのおめえだよ」などの挑発的で激しく歌われる歌詞からすれば、一見あまりにもミスマッチにも思える風船の演出も、奴隷でありながら奴隷であることに気づかず、風船のようにふわふわと浮かれて奴隷の天国を謳歌する世間の人々へのアイロニー的表現にも思え、そして風船が舞い踊る光景に相好を崩して無邪気に喜ぶ自分は、その愚か者の一人なのだと見透かされたようで、そう喜んでばかりはいられない、などという思いがふと頭をよぎったのだけれど、あまりの愉快さにこのときばかりは、そんなことはこの際どうでもよい、愚か者に幸あれ!だ、といった気分で、風船の舞う光景を楽しみながら、スクリーンに映し出された歌い叫ぶ宮本の鬼神のような形相、石君の切れのいいギター、トミの迫力ある激しいドラム、成ちゃんのどこまでもストイックなベースなど、エレカシのバンド演奏に身を委ねていたのだった。

奴隷天国からの風船.jpg"奴隷天国"の風船と同じくらい仰天したのは、宮本によれば恥ずかしくて長年にわたって封印していたという「エレカシと一緒に歌おう」のコーナーが“男餓鬼道空っ風”で設けられ、“奴隷天国”と「天国」繋がりというわけでもあるまいが、フィンガーファイブの“学園天国”の歌い始めの「♪ ヘーイヘイヘイ・ヘーイヘイ」が宮本と観客との間でやり取りされ、宮本の言う通り「森のくまさん」的な輪唱が繰り広げられたことで、エレカシがライブハウスでやっていたものをブートレグか何かで聞いたような気はするのだけれど、ここへきてまさか自分が参加することになるとは夢にも思わず、不意を突かれて気恥ずかしく思う暇も無く、気付いてみれば大声を張り上げてレスポンスする自分がいることに重ねて驚き、ああ「♪ 三途の川」を渡ってしまっていたのか、と曲が終わりわずかな冷静さが戻ってくれば、恥ずかしさがいっぺんに押し寄せてきて、さてどう取り繕おうかと思ったものの、まあ正月だからと訳のわからぬ言い訳で気恥ずかしさをやり過ごしたのだった。

ステージ中央からアリーナを貫通して伸びる、20メートル以上はあろうかと思われる花道での宮本のパフォーマンスも素晴らしかったの一言に尽き、特にその最先端に立ち、身仕舞を整えるようにして上着を着て、スポットライトを浴びながら新曲“あなたへ”を歌う宮本の凛とした姿は、「赤羽台一丁目1番地」「1月11日」ではないけれど、天に向かって垂直に伸びる数字の「1」のように孤高で比類のない美しさを湛えていたし、“桜の花、舞い上がる道を”では、この花道に赤羽台団地の八重桜を彷彿とさせる桜の紙吹雪が舞い上がり、花道を行き来し、時には駆け抜けながら歌う宮本の姿もまた、舞う桜の花びらのように軽やかで夢か幻かと思うほどだったのだけれど、目の前に繰り広げられる光景は決して夢や幻ではなく、歌詞通りくすぶる胸の思いのすべてを笑い飛ばせしてくれたし、他の曲でも、窮屈なステージでいつものように機材が邪魔になったり、コードに足をとられることもなく縦横無尽に動き回る宮本の姿は解放感に満ち溢れていて、その奔放さが、より会場との一体感を高めたようにも思え、“あなたへ”の歌詞の「あなた」と「わたし」のように、この花道とはまさにエレカシと観客とを繋ぐ一本の道だったのだと感動したのだった。

会場との一体感と言えば、この日の宮本はいつになく饒舌で、“リッスントゥザミュージック”での大宮フリークスの話、“シャララ”での六本木ピットインの話、“やさしさ”でのヤマハのポプコンの話、“珍奇男”でのミュージックマガジンに褒められた話、"傷だらけの夜明け"を歌い終わって“あなたへ”までの繋ぎに話した、大人になっても子供の頃の気持ちはなくならない、かわいがられた時のことや、たまに冬の匂いを思い出したりとか、といった何ともしんみりとした話、“旅”の演奏が終わって花道の先端で、凄いんだ二酸化炭素が、みんなの二酸化炭素を吸い込んで、と言っておどけて見せたこと、さらにこの日、数えきれないほど耳にした「ありがとう」「サンキュウ」という、宮本から観客やスタッフ、サポートメンバーなどへの感謝の言葉、などなど興味が尽きることはなく、昨年の日比谷野音初日の緊張感がまるで嘘のように、これらのMCもまた会場を和ませ、さらに一体感が増したように感じられたのだった。

ストリングス隊とホーン隊も素晴らしく、ストリングス隊とホーン隊が加わったこの日の選曲は、「桜の花舞い上がる武道館コンサート」と一昨年の渋谷公会堂の新春コンサートを合体させたような内容だったけれども、改めてそれらのコンサートの感動を呼び起こさせてもくれたし、ストリングス隊が加わった演奏は、いつもの「男所帯」のコンサートに華やかさを与えていて、“新しい季節へキミと”や“リッスントゥザミュージック”、“ハナウタ”、“桜の花、舞い上がる道を”などは言うまでもなく、“彼女は買い物の帰り道”や“Darling”、“あなたへ”の琴線に触れるような繊細なエモーションの表現に至っては金原さんと笠原さんをはじめとするストリングス隊無しでは成り立たないような気にもなり、また、“ズレてる方がいい”、“昔の侍”、前説で金原さんも参加していたレコーディング当時のことを懐かしく振り返り、歌い終わった後には「ドヤ顔」ともいうべき表情まで見せていた“シャララ”などの演奏はより躍動的なものとなっていて、楽曲の持つ大きさを存分に表現して感動的だったし、さらにダイナミックな演奏のホーン隊の参加もまたエレカシの力強さをパワーアップさせて会場を盛り上げ、爽快な疾走感を演出した“so many people”、まさにお正月の豪華なおせち料理を食べるような贅沢さのある“あなたのやさしさを何にたとえよう”の演奏には、思わず立ち上がって踊りだしてしまう楽しさがあった。

宮本の歌声という点からすれば、激しい曲の声もよくでていて迫力があったのだけれども、今の宮本の声の状態の素晴らしさを最大限に聴くことができたのは、激しい曲の演奏の合間を縫って歌われたバラード曲で、それまで酷使してきた喉が、不幸中の幸いというべきか、耳の病を得たことで十分に休息を取ることができ、それに加えて禁煙の効果もあったのか、その伸びがあって艶やかな歌声は間違いなく絶品と言ってよく、三連のリズムが心地よい“やさしさ”、これも三連のリズムで宮本が言う通りの名曲“さらば青春”、大空のように壮大に歌われた"昔の侍"、蔦谷さんのピアノ、昼海さんのギターの伴奏による三人だけの“風に吹かれて”、宮本のギター弾き語りで始まる"傷だらけの夜明け"、これらの歌と、しっとりとした声の切なさには胸がつまって言葉も出ず、あまりの素晴らしさに息を呑んだ会場全体もしんと静まり返り、曲が終わって拍手はするものの、いつもまでもその余韻は胸を満たしているのだった。

エレファントカシマシ デビュー25周年記念 SPECIAL LIVE さいたまスーパーアリーナ (通常盤) [DVD] / エレファントカシマシ (出演)スクリーンに映し出される映像の演出もコンサートを大いに盛り上げたと言ってよく、“Sky is blue”の太陽、すでに書いた『奴隷天国』のカウントアップ、“彼女は買い物の帰り道”の青空、浮雲、夕暮れと移り行く空、“ココロをノックしてくれ”の高速道路の疾走、“生命賛歌”の4分割されたスクリーンのそれぞれに映されたメンバーの顔、ストリングスの金原さんと笠原さんの美しい笑顔、エレカシを凌ぐ男臭さが漂うホーン隊の面々などなど、的確に曲をサポートしていたように感じたし、ステージ中央に備え付けられたメインとなる巨大なスクリーンだけでなく、両脇の小振りなスクリーンにも宮本をはじめとするメンバーの演奏する姿が映し出され、会場の大きさから小さくしか見えないメンバーの表情がはっきりと垣間見れて、より臨場感をもたらしてくれたし、さらにまた、照明の劇的でスぺクタクルな演出も興奮度を高めてくれたことは言うまでもない。

まだまだ書洩らしがたくさんあるけれども、「ブタブタブタ」と繰り返された“未来の生命体”、マネーゲームを誘導するアベノミクス、その風潮を煽るマスメディアへの批判からか最近演奏回数が多く、イントロで何度もカウベルを鳴らし、「バカバカバカ」と繰り返された“デーデ”、今や恒例になった「みんなの化けの皮と自分の化けの皮を剥がす」と歌われたアジテーションの痛快な日本ロックの金字塔“ガストロンジャー”、いつもリズムブレイクとエンディングが清々しい“ファイティングマン”、久々に聞くような気がした稀代の傑作曲“珍奇男”、渋くてクールな間奏の“男は行く”、クールな成ちゃんのベースから始まり、宮本の狂気を思わせるパフォーマンスで演劇性の豊かな“待つ男”、セッション性の観点からいえば“珍奇男”、“男は行く”は「桜の花舞い上がる武道館コンサート」の方が優れているといえなくもないけれど、こうしたエレカシの見慣れた光景もいつも通りの素晴らしさで、これまで書き連ねてきたことすべてが絡み合って、万華鏡のようにきらびやかで美しく、それでいて力強い生命エネルギーの奔流を感じさせる壮観なコンサートになって、生きていてよかったと、“待つ男”を歌い終え涙に言葉を詰まらせた宮本のように、思わず涙ぐむのだった。前回の記事に書いた予言は見事に的中したと言える。

一切がビューティフル!
一切がワンダフル!
一切がダイヤモンド!






posted by bow at 21:21| ハロー エレカシ!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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